愛に

愛なんて知らなかった
思い描いては囚われていた

親を愛していると
彼を愛していると
彼女を愛しているのにと
言い聞かせていた

それなりの愛


桜の季節に
かれは訪れて
わたしに春を愛させた

よく働きよく遊び
たくさん食べてたくさん眠った

車でしか通らない道を
ゆっくりと歩いた
若葉と空を仰いで

瑞々しい5月
かれを想って泣いた
かれだけを想って

空は高く
葉は生い茂る
稲は背丈を増し
陽はきらめいて

6月
雨の匂い
愛がしっとりと漂っている
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by anthology11 | 2008-06-05 22:42 | かきとめ